IR汚職事件、与野党に波紋広がる 大阪・横浜など自治体も今後を懸念

IR汚職事件、与野党に波紋広がる 大阪・横浜など自治体も今後を懸念

12月25日、日本IR事業への参入を目指していた中国のオンラインゲーム会社「500.com」からIR事業で有利な計らいを受ける意図と知りつつ現金300万円等の賄賂を受け取ったとして、IR担当副大臣だった自民党・秋元司衆院議員が収賄容疑で逮捕されました。
「500.com」側からは、日本法人元役員・鄭希、元顧問の紺野昌彦、仲里勝憲の3容疑者が贈賄容疑で逮捕されています。

「500.com」は2017年7月に東京都内に日本法人を設立。翌月に那覇市で主催したIRのシンポジウムにて秋元容疑者と鄭容疑者らは面識を持ったとされています。

この一件を受け、菅官房長官は「できるだけ早期に、必要な準備は進めていきたい」、候補地選定を行う赤羽国土交通相は「決められたスケジュールにのっとって、IR整備による効果が実現できるよう準備を進めていく」と、IRについては今後もスケジュール通りに進めていく意向を示しています。

野党「カジノ禁止法案」提出へ。与野党内で波紋広がる

今回の与党の汚職事件を受け、野党は「カジノ禁止法案」を来年の通常国会で提出する方針を固めました。

立憲民主党の安住淳国対委員長は、「多くの国民はIRをうさんくさく思っている。この件は次の国会で大きな争点となる。日本にカジノはいらない」とIRに反対する姿勢を強調。
一方、IR推進派である国際観光産業振興議員連盟(IR議連)に所属する国民民主党の玉木雄一郎代表は、「徹底的に調査する必要がある」とのコメントを発表。
「一旦IRに関する法執行を停止する何らかの手立ては必要」としつつも、「カジノ禁止法案」については慎重にすべきとの考えを示してました。
玉木氏はIRについて「いろんな自治体が計画を進めている。予測可能性、法的安定性を考えれば、慎重に考えるべき」と語っています。

また、来年1月7日に予定されているカジノ管理委員会の立ち上げを延期すべきという声が与党内でも上がるなど、与野党問わず波紋が広がっています。

誘致検討の各候補地の反応まとめ

IRを巡る汚職事件を受け、IR誘致を検討している自治体からも今後を懸念する声が上がっています。
一連の事件に関する各自治体の代表者の反応をまとめました。

大阪・吉村知事「あってはならない」

「IRに関する現職国会議員の逮捕はあってはならない」と強調したのは、熱心にIR誘致を続けており、有力候補地でもある大阪府の吉村洋文知事。
吉村知事は「IRそのものに問題があるものではなく、マイナスに評価されるべきではない」との見解を示しました。

IRの開業に際して元々大阪万博を意識したスケジュールを想定していた大阪府市は、今回の事件によるスケジュールの遅れについて懸念を滲ませており、予定通りに手続きを進めるように国に求めています。
また、大阪府市では職員単独でIR事業者と面会することを禁止する等のルールを設定しており、公平性が担保されていることについても触れ、「これからも手続きの透明性を重視して進める」と語っています。

横浜・林市長「厳正に対処すべき」

横浜市の林文子市長は、「収賄が事実ならばあってはならないこと。厳正に対処すべき」とするコメントを発表しました。

横浜は今年8月に山下ふ頭への誘致を表明し、今国内外から最も注目を集めている候補地。しかし住民や地元団体の反対の声が非常に大きく、今回の事件を機に誘致撤回を求める声がさらに高まっています。

北海道・鈴木知事「今後の状況次第では影響ある」

誘致撤退を正式表明したばかりの北海道・鈴木直道知事は、「現職の国会議員が逮捕され、IRという言葉が出ている。今後、明らかになる状況次第では少なからぬ影響はある」とコメントしました。

北海道 留寿都村・場谷村長「村のイメージダウン」

贈賄側の「500.com」がIRの候補地として注目していた北海道・留寿都村の村長、場谷常八村長は、「世界一安全安心なIRを迎え入れようと進めてきた。このような事件が起き、ショックで遺憾。村のイメージダウンに繋がった」と、憤りをあらわにしています。

北海道は苫小牧を第一候補地とし誘致を検討してきたものの、環境問題などを理由に誘致を断念。今後も候補地の見直しも検討しながら誘致の機会に備えたいと表明しているだけに、地域を問わずIRへの悪影響に対する懸念があるようです。

IR開業までの具体的なフローに差し掛かりつつある段階で起きた汚職事件。与野党や各自治体、国民、そして今後の日本にも影響を与えることは必至です。

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